忍者ブログ

珠谷ブログ

日々の出来事や妄想など。取り止めのなさが売りです(え)
2024
05,19

«[PR]»

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2008
06,16
久々にSSでも。
書きかけてやめてるのはいつ再開できるやら、、、

アニ魂がこっちでは京次郎さんのやつの後編だったので、それともちょっと絡められるお話。
もうほんとありふれたネタなんですけど、銀新スキーとしてはやっぱ考えちゃうんだなこれ(苦笑)

因みに京次郎さん編は京次郎さんにバカヤロー!とも思うけどそれ以上に銀さんにバカヤロー!!と思います。鼻フックデストロイヤーかけてやりたい。
そんな感じがありありと表れたSSだよなぁ・・・;



OKな方はつづきからどぞー!

---------


泣かせたいわけじゃない。

でも、

泣いて欲しいと思う。


歪曲理論


くるくると、全身に包帯が巻かれていく様を、俺は黙って見守っていた。
些細な刺激にも痛む傷口を無視しながら、包帯を巻いていく手をじっとみつめていた。

夜明けが近い。
夜が更けて尚賑わいを増すかぶき町も、この時間帯だけは皆寝静まって静かだ。
ゆっくりと、朝日を待ち望む時間。
万事屋の中も例に漏れず、静寂に包まれている。

時折漏れる、新八が鼻を啜る音を除いては。


どてっ腹に風穴をあけて帰宅してきた俺に、寝ずに待っていた新八は蒼白になった。
「大丈夫だから」と言っても聞かず、滂沱のように流れる涙も鼻水もぬぐいもせず、せめてもの応急処置を施してくれた。
夜が明けたら、真っ先に病院に担ぎ込まれるのだろう。

手当てをしている間、新八は涙声で幾度も俺をなじった。

「何度死にかければ気が済むんですか」
「僕と神楽ちゃんがどんだけ心配したと思ってるんですか」
「もうこんな無茶はやめてください」
「アンタは正真正銘のバカです」

そんな言葉を、これまでにもう何度聞いただろう。
何度この少年を泣かせたのだろう。
何度、この手に包帯を巻かれただろうか。

その度に申し訳なく思う。幾度も繰り返す新八の力ない罵声に、何度も「ごめん」と謝った。


泣かせたいわけじゃない。
護りたいだけなんだ。

けれど、新八が俺を心配して泣く度にどこか安堵している。

ああ、泣いてくれるんだ、と。
俺なんかの為に、こいつは泣いてくれるんだと。

(ほんとサイテーだよ俺ァ)

こんな子供を泣かせて、自分の価値を測る。それが最低でなくて何だろう。


新八が巻き終わった包帯を切って、救急箱に収める。
俺はその手を取って、眼鏡の奥の真っ赤になった瞳を覗き込んだ。

「ごめん、な」

俺の表情はいつもとそう変わらないだろう。元々皮の厚いツラだ。
だが新八は、一瞬そのでっかい目をさらに見開いた後、ぐしゃりと顔を歪めた。

「・・・ばかやろう・・・っ!」

パタパタと着物の上に落ちて染みを作る涙を見ながら、あーあまた泣かせちゃったよと後悔する。

俯いたまま顔を上げない新八の頭をポンポンと撫でてやると、いやいやをするようにかぶりを振った。
それすらも心苦しく思えて、俺はそのまま新八の頭を自分の胸元に抱き寄せた。
出来るだけ優しくしたつもりだが、今の自分の身体はそれすらもかなりの衝撃だったようで、ズキンと鈍い痛みが全身を走る。

「痛ってー・・・・」

気の抜けた声で思わず零すと、新八が離れようと抵抗してくる。
「ばっか動くなって」
「バカはアンタだ!傷口考えて行動してくださいよ!」
腕の中でもがく新八に、俺は抱く腕に力をこめた。
「お前が大人しくしないと銀さんの傷口ガッパリ開くよ?」
「・・・っ!」
途端に大人しくなった新八を改めて引き寄せながら、その背を撫でてやる。
俺の肩口が、だんだんと濡れてゆくのが分かった。
新八の涙と鼻水で。


ぐずぐずと泣き続ける新八の背を、心の中で何度もごめんと謝りながら、繰り返し繰り返し撫でた。
口で言うとまた泣くから、もう喋らなかった。
新八が落ち着くまで、ずっとそうしていた。


人一人が一生のうちに護れるモノなんざ、たかが知れている。
ましてや命なんて重いものを、そうそう護れるはずがない。
自分の一生をかけて、やっと一人護りきれるかどうかだ。

そんなことは分かってる。

分かってるくせに、俺は何度も手を伸ばす。もうこれは病気みたいなもんだ。
取りこぼすと分かっていても、知っていても、何度でも。

そんなろくでもない人間の命を、この子供に任せてもいいのだろうか。
こんな人間の命ひとつで、この子供の全てを縛り付けてしまってもいいのだろうか。

ふいにもたげてくる疑問に、俺はいつも答えを出せずにいる。
こんな自分に「家族だと思ってくれていい」などと言ってくれるこの優しい子供に、いつも甘えてしまう。


家族ってなんだろう。
俺って一体なんなんだろう。

ぼんやり浮かぶその疑問に、新八の涙が答えてくれているかのような気がして、何度も泣かせては確かめる。
ごめん、ごめんと謝りながら、その涙で確かめながら。

泣かせたいわけじゃない。
だけど、泣いて欲しいんだ。
俺の為に。


<了>

銀さんは「ごめん」の深さを分かってません。
なんだろう、上手く言えないけれど、私の中で銀新はこんなかんじでもあります。

心に真っ直ぐな刀を持ってるくせに、どこか歪んでる銀さんが好きだったり。
銀さんはどうしようもなければどうしようもない程好きです(苦笑)

そしてですね。タイトルは何て読むのかとかつっこんじゃいけません(苦笑)
湾曲の湾の字が気に食わなかったんですよ・・・;歪むの方がしっくりきたので・・・漢字詐称;

 

PR
Post your Comment
Name:
Title:
Mail:
URL:
Color:
Comment:
pass: emoji:Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新CM
[05/26 珠谷]
[05/20 PON]
[12/03 珠谷]
[11/25 夏初月 春]
[12/19 珠谷]
最新TB
プロフィール
HN:
珠谷 あい
HP:
性別:
女性
自己紹介:
漫画家を目指して修行中
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析

Powered by Ninja.blog * TemplateDesign by TMP
忍者ブログ[PR]