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珠谷ブログ

日々の出来事や妄想など。取り止めのなさが売りです(え)
2024
05,19

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2007
02,10
つーいーに、やってしまったよ。
SSです。内容はまるマの、ユーリとフリンさん、です・・・。
フリンさん出てこないけど(笑)


えーとユーリ→フリン、でムラケンズ、です。

OK!て方は続きからどうぞ。

そのうちヨザアニも書きたいなんて思っていたり・・・。




並んで歩いていたはずの人物が視界の端から消えたことに気付いた村田は、歩みを止めて振り返った。

「渋谷?」
見ると、彼は村田の10m程後ろで立ち止まり、進行方向とは逆に顔を向けていた。
村田は有利の元へ引き返し、
「どうしたんだよ?」
彼の視線の先に目を向けた。

そこに居たのは、淡い金髪の女性。
留学生なのだろうか。大学生程の日本人の女性2人ともに、楽しそうに話しながら歩いていく。

昨今、外国人なんてそう珍しいものでもない。街にも溢れている。
そして渋谷有利は別に外国人差別者でもない。逆に金髪おねーさんフェチなんて性癖も持っていない。はずだ。

だが村田は、彼が何故目を奪われているのかを理解していた。

いまだぼんやりしている有利の耳元ににそっと口を寄せ、囁いてやる。
「・・・・・・プラチナブロンドの貴婦人のこと、思い出してた?」
「うわっ!?ななななんだよ村田気持ち悪いな!」
ようやっと現実に戻ってきた有利は、慌てて村田から離れる。
彼のその態度に大袈裟に肩をすくめて見せた後、村田が口を開く。
「だって渋谷が道のど真ん中でトリップしちゃってるからさ~」
その言葉に、有利はバツの悪そうな顔をした。
「・・・・・・・・・そんなんじゃねぇよ」
そうして足早に歩き始める。
思わず足を止めてしまった自分を、なかったことにするかのように。

有利の後から、村田が慌ててついてくる。そして肩を並べ、困ったように笑った。
「別に恥ずかしいことでもないのに。いじっぱりだなぁ渋谷は」
「だからそんなんじゃないって」
「でも思い出してたんだろ?」
「・・・・・・・・・」
はっきり言って有利は嘘が上手くつけない。よって図星をつかれると黙り込む。
場合によってはどんな嘘でも平気で口にする村田にとって、それはとても尊いものだと思っているのだが、本人にとっては不服なのだろう。じろりと、村田を睨む。
「別にヤキモチ妬きの婚約者に言いつけたりしないって」
「・・・・・・そうじゃないだろ。ていうかだからヴォルフとは男同士だし」
あちらではお決まりの台詞だが、地球で言うとなんだか新鮮だ。
「うんだから、そっちの金髪じゃないんだろ?」
「・・・・・・どうさせたいんだよお前は」
やけにしつこい村田に、有利は苛立つよりも先に呆れてしまった。
溜め息をつく有利に、それでも飄々とした顔で村田は続ける。
「始まったものを始まってないふりしたり、自分の気持ちをあえて無視したり、そういうの、渋谷の性格上よくないと思うんだよね」
そもそも有利はは短気な方だし、テンパるとマシンガントークだし。言わないで黙っておけるような人間ではない。
そんな彼の性格を知っているからこそ、あえて村田は有利に追求する。

「好きになりかけてたんだろ。フリンさんのこと」
はっきりと言ってやると、有利は言葉に詰まった。眉間にこれでもかという程に皺を寄せる。
「・・・・・・・・・」

違う、とは言えない。
言えないくらいには、自覚していた。
けれど、彼女とは、あの夜会の日に友情を誓ったのだ。
そしてそれが間違いだったとは、今でも絶対に思えない。

だけど。


「・・・・・・初めて、同じ立場の人に会ったんだ」
「うん」
「国の為に何もかも投げ出しちゃってさ。美人なのにマスクで顔隠したり」
「うん」
「最初は、とんでもないことに巻き込んでくれちゃって、正直いい印象じゃなかったけど」
「そうだね」


思い出すのは、綺麗なドレスをまとった彼女と踊ったあの夜よりも、泥だらけでも凛としていたあの旅の中の彼女の姿。


「初めて、同じ立場の人に出会えたんだ」

繰り返す、その言葉は、まごうことなき本心。
だけど奥底に潜む気持ちを隠そうとする言葉。


「・・・・・・渋谷。別に恋は罪じゃないだろ?」
再び固まっていこうとした彼の心に沁みるような村田の言葉。
有利は苦笑した。そして頷く。
「・・・そうだな」
「君がここでどうこう言ったところで、君達の関係が変わってしまうわけじゃない」
並んで歩く村田の目は、とても深い色をしていた。
同じ双黒と認めてしまってもいいものなのか、有利は戸惑う。それほどに村田の瞳は深かった。
「君だって、別に彼女とどうこうなりたいとか思ってるわけじゃないんだろ?」


今の関係が、ベストだと思う。
その上での気持ちならば。


「認めちゃえよ」

にやりと、村田が笑う。
つられたように、有利も口端を吊り上げた。
そして一度ぎゅっと目を閉じ、肺の奥から息をはきだす。

そうして。

「・・・・・・・・・そうだな」


領主の奥方という立場ながら、国を護る為には何でもやってやると言ってのけた、あの女性を。


「好き、だった」




言葉にすると、それはすとんと耳に落ちていった。
心にも、何の余韻も残らない。
じんわりと、溶けていった。

横を見ると、村田が16歳とは思えない顔で微笑んでいた。
「・・・お前一体いくつ?」
からかうような有利の言葉に、同じく軽い調子で村田が答える。
「何言ってんの。僕は誰が何と言ってもピチピチの16歳さ」




花開く前に終わったその想いに、けして後悔はないけれど。
その小さな花が確かに在ったのだということを、忘れることは出来ない。
なかったことにする必要はない。
そんな花もあったのだと、認めてしまってかまわないのだから。











□■□■□■□■□■
う~ん消化不良;
有利とフリンさんは、実はまるマで一番好きなカプだったりします。
誰かこの2人書いて(描いて)くれないかな・・・。まだ見たことないです(><)
一番好きなカプだけど、恋にはならない関係がベストだと思ってます。
そういう意味では、この話は最初で最後になってしまうんじゃ・・・;
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